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三大麺ものがたり

それぞれの麺のルーツをたどりながら、盛岡と麺のいい関係を探ってみました。
歴史を知れば、食べる楽しみだって、また格別です。

盛岡冷麺

 冷麺のルーツは朝鮮半島の北西・平壌ですが、昭和の初めに日本へ。のちに盛岡に定住した人たちが故郷の味を懐かしみ、戦後になって盛岡市内に店を出したのがはじまりとされています。
 もともと平壌も米が穫れにくい寒冷地。穀物、漬物、冬に捕れるキジなどを利用した保存食として一般家庭で改良されてきましたが、その意味では、日本の「そば」と同じような軌跡をたどり、食卓に根づいてきたのかもしれません。
 ただし、本場の冷麺は、そば粉、でんぷん、小麦粉を練り合わせて麺を作るのに対し、盛岡冷麺は、でんぷんと小麦粉がべース。また、朝鮮半島では家庭料理としても親しまれてきましたが、盛岡では独自の「盛岡冷麺」として、むしろ商業べースで普及してきた経緯があります。
 しかし、冷麺に対する職人たちの意気込みや冷麺を愛してやまない人たちの情熱は、本場にも負けずとも劣らぬもの。平壌と同じ北緯40度の盛岡で、冷麺がこれだけ多くの人に愛されているのも決して偶然ではないのです。

じゃじゃ麺

 炸醤麺と書けばわかるようにもともとは中国料理として知られる料理です。本場では、竹のこ、しいたけ、ひき肉などを棒々鶏をベースにしながら唐辛子入りの味噌味で仕上げます。
 しかし盛岡のそれは辛さに重点を置かない、どちらかといえばシンプルな「肉炒め味噌うどん」。きしめんに香ばしい肉炒め味噌をのせ、好みに応じて、ニンニク、ショウガ、ラー油、酢などをかけ、刻んだネギやキュウリと混ぜていただきます。
 そもそも戦争中に大陸で過ごした人が現地で味を覚え、それを盛岡で再現したものが、ファンに支えられながら改良され、独自のスタイルの「じゃじゃ麺」として定着していきました。だから中国料理の炸醤麺とは、味も風味も違うのは当たり前。
 今では中国料理の店でも「じゃじゃ麺」が食べられますが、店によって味はさまざま。店独自のルーツや解釈の違いによるものでしょうが、専門店のファンも根強く、まさに麺王国岩手を代表する麺になりつつあります。

そば

 そばは元はというと、各地の山村で補食の必要から生まれ、その名残りからか、どの地域にも土地の素材を生かした素朴な田舎そばがあります。
 岩手を代表するそばといえば、何といっても「わんこそば」。わんことは、浅い平椀(方言でわんこ)に盛るところから出た名称ですが、そのわんこに、1玉の3分の1から5分の1くらいのそばをかわるがわる盛り、好みの薬味で何杯も食べます。
 旧家の振舞いでは、給仕係は、かすりの着物にもんぺ姿、赤前垂れで赤たすきの出で立ちで、ひっきりなしにそばの替わりを客に強いて、ふたを閉じるまで客のわんこにそばを放り込みます。これは「おたち」といって、そばが御馳走の時代の、客に対する最大のもてなしだったわけです。その名残りは、いまも岩手県内のわんこそば専門店で受け継がれています。
 このほか、南部鼻曲がり鮭の卵を入れたはらこそばや、素朴なそばもち、そばがき、かっけなども懐かしい味として人気があります。